理学療法士が勧める生活習慣から見直す「糖尿病」
残暑が続きますね。
皆様、体調はいかがでしょうか?
ビールやジュース、アイスなどについつい手が伸びてしまいませんか?
それらに多く含まれている「糖質」。
今回は生活習慣から見直す「糖尿病」です!
目次
1.糖尿病とは?
糖尿病とは膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンというホルモンが慢性的に不足して起こる病気です。インスリンは血液中の糖分を細胞に送り込み、エネルギー源として利用される手助けをします。そのインスリンが不足することで、血液中の糖分が細胞に吸収されずに残り、高血糖の状態になります。細胞内ではエネルギー不足になり、残った血糖が尿の中に排泄される病気なので糖尿病と呼ばれます。
2.Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病
糖尿病には「Ⅰ型糖尿病」と「Ⅱ型糖尿病」の2種類があります。
「Ⅰ型糖尿病」は、自己免疫や感染症などによって膵臓が障害し、まったくインスリンが分泌できなったために起こる病気です。多くは若年で発症し、日本では年間500人ほどいますが、インスリン注射により普通の人とさほど変わらない生活が出来るようになっています。
「Ⅱ型糖尿病」は、日本や多くの先進諸国で急増していて、中年以降に発症する生活習慣病としての糖尿病を指します。主に過食と運動不足などが原因で、インスリンが不足気味になったり、インスリンの働きが悪くなったときに高血糖状態になります。
3.糖尿病の症状
初期は自覚症状はほとんどありません。
体内の血糖を水分で薄めて尿と一緒に排泄させようと反応しますので、やたらとのどが渇いたり、トイレの回数が増えます。他には血糖が細胞に利用されないために、空腹感や痩せ、目のかすみ、倦怠感などの症状がやがて出現してきます。
4.症状よりも怖い糖尿病の合併症
そして、糖尿病で怖いのが合併症です。
血糖というのはブトウ糖のことで、食事によってブドウ糖が吸収されるたびに血糖値は変わります。正常であれば、食後に血糖値が上がり始めると膵臓からただちにインスリンが分泌され、血糖値は最高でも180mg程度に抑えられ、食後2時間もたつと元の値に戻ります。
しかし、糖尿病になると、空腹時でも血糖値が200〜300mg台に上がることがあります。そんなに高い血糖値が続くと、カラダにとって重要な構成成分であるタンパク質にブトウ糖が結合し、糖化タンパク質を作ります。
これができると、血管の壁を傷めたり、細い血管を詰まらせたりします。
3大合併症といわれる「糖尿病神経障害」「糖尿病腎症」「糖尿病網膜症」を引き起こします。
糖尿病の合併症は血糖コントロールをしないでいると、発症してから10〜15年で現れます。
Ⅰ.糖尿病神経障害
神経障害は糖尿病の方に最も多い合併症のひとつです。血糖値が高い状態が続くと、しびれや痛みを感じたり、その逆に感覚がなくなるなどの障害をおこしたりすることがあります。
高血糖が続くと、末梢神経の代謝に異常をきたして不必要な物質が溜まってしまったり、神経に栄養を与える血管が傷ついて血流が低下したりすることで、結果として神経の働きも障害されてしまいます。
Ⅱ.糖尿病腎症
糖尿病性腎症は持続する高血糖により発症し、腎障害の進行とともに腎不全に至る病気です。
腎症の出現には10~20年かかりますが、早期には微量アルブミン尿(腎症2期)、その後、蛋白尿(腎症3期)が出現します。ネフロ-ゼ症候群になることも多く、徐々に腎機能が低下し、腎不全に至ります。
糖尿病患者全体の30%~40%(約400~500万人)が、本症に罹患していると考えられ、新規透析導入患者の原因疾患の第1位となっています。
Ⅲ.糖尿病網膜症
糖尿病が原因で目の中の網膜という組織が障害を受け、視力が低下する病気です。 網膜とは、目の中に入ってきた光を刺激として受け取り、脳への視神経に伝達する組織で、カメラでいうとフィルムのはたらきをしています。
糖尿病網膜症は、糖尿病腎症、糖尿病神経症と並んで、糖尿病の三大合併症といわれます。
5.糖尿病の診断
糖尿病の診断方法にはいくつか種類があります。
Ⅰ.空腹時血糖値の測定
もっとも一般的なのは、朝の空腹時血糖値を測ることです。
血液100mlあたり血糖が110mg未満が正常、126mg以上は糖尿病、110〜125mgは境界型糖尿病とされます。
Ⅱ.経口ブドウ糖負荷試験
もうひとつは75gのブドウ糖を飲んで、2時間後の血糖値を測る方法です。
正常な人は140mg未満、200mg以上は糖尿病、140〜199mgは境界型とされます。
この異常を耐糖能異常(たいとうのういじょう)といいます。
Ⅲ.HbA1cの検査
また、赤血球のヘモグロビンにブドウ糖が結合したものの割合をパーセントで表した「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」というものがあります。
普通、血糖値は血液中のブドウ糖の濃度を測り、空腹時や食後2時間後などその時点での血糖値を知るには好都合なのですが、変化が大きいので長期間の平均的血糖値を知る指標には使えません。
そこで2〜3ヶ月の血糖値を反映しているのがHb(ヘモグロビン)A1cの値なのです。
そして、この値は糖尿病の合併症になるリスクとよく関連しています。
合併症のリスクはHbA1cが9%ぐらいから急激に上がります。
HbA1cが平常は6%以下で、6%台でも合併症のリスクはほとんどないとされています。
6.高血糖症と糖尿病
糖尿病は、単に血糖値が高いだけで、まだ合併症やその他の具体的な症状が出ていない「高血糖症」と、高血糖が続いたために合併症などの症状が出た「糖尿病」と分けて考える必要があるともいわれています。
「高血糖症」が発見されたときに、多くの医師はすぐにも合併症が始まるかのような危険を指摘して、二度の検査で「糖尿病」を宣告し、目標の数値まで血糖値を下げるように薬を処方する場合が多いようです。
しかし、合併症のリスクは直線的に上がるものではありません。それほどすぐに薬に頼ってよいかどうかは大いに疑問です。糖尿病の薬にも副作用があり、そのリスクも考えるべきだからです。
確かに高血糖を放っておくと怖いことも事実です。高血糖が指摘されて5年も経って、視力障害や歩行困難が現れてから受診する人が大勢いることが問題となっています。そうならないためにも「高血糖症」の段階で、食事と運動による生活習慣の改善に取り組むことが最善の方法と思います。
7.血糖値の仕組み
食事をして血液中にブドウ糖が増えると、ただちに膵臓からインスリンが分泌されて、ブドウ糖と同時にインスリンも血液中を流れるようになります。
ブドウ糖はそれ自体では細胞膜を通って細胞の中には入れません。
細胞膜にはブドウ糖をキャッチして取り込むドアがあります。それをGLUT(ブドウ糖トランスポーター)といいます。
インスリンはそのドアを開ける鍵になります。
インスリンによって細胞膜のドア(GLUT)が開いて、ブドウ糖が細胞内になだれ込める仕組みになっています。体の中に吸収されたブドウ糖はいったん肝臓にグリコーゲンとして貯蔵されます。
そして血糖が下がってきたり、運動で体が大量にエネルギーを必要としている状態のときに、またブドウ糖に分解されて血液中に放出されます。
ブドウ糖は燃料として細胞の中にあるTCA回路とよばれる発電装置で多量のエネルギーに変換されます。ブドウ糖が足りなくなると脂肪やタンパク質も燃料として利用されますが、効率の面でブドウ糖には及びません。ブドウ糖は最終的に水と炭酸ガスに分解されるとてもクリーンなエネルギー源なのです。
7.高血糖症を改善するには
Ⅰ.食事について
薬に頼らない、食事と運動による療法を行う場合、制限カロリーを守ることがとても重要です。それを上回る分はすべて脂肪になったり、尿に出たりすることになり、合併症のリスクが高くなるからです。
制限して摂取するカロリーは1日約1600kcal。
まず食事は1日3回と決め、朝・昼・晩を規則正しい時間にとることにします。そして、内容として重要なのが「脂肪の摂り過ぎを抑えること」です。これさえできれば、カロリー制限はそれほど難しくありません。炭水化物やタンパク質は1gで約4kcalなのですが、脂肪は1gで9kcalで2倍以上あります。食品中にはもともと脂肪が含まれています。なので目に見える油物は摂らないことがコツです。
その他には飲み物でカロリーを取らないことも大切。コーラやスポーツドリンク、ミルク入りのコーヒーは茶碗1杯分のカロリーに相当します。糖質の量も多く、甘い清涼飲料水に含まれるブドウ糖果糖液は急激に血糖値を上げてしまいます。普段の飲み物はなるべく水かお茶を飲みましょう。
また、食事では食べる順番も工夫すると、血糖値が上がりづらくなります。野菜に含まれる食物繊維は血糖値の上昇を抑える働きがあります。野菜から食べる「ベジタブルファースト」を心がけましょう。
Ⅱ.運動について
ブドウ糖が細胞の中に入るためには細胞膜にあるGLUT(ブドウ糖トランスポーター)というドアを開ける必要があります。血糖値が下がるということは、血液から細胞の中にブドウ糖が入ることであり、インスリンによってGLUTを開く必要があります。
しかし、インスリン以外にもGLUTという細胞膜のドアを開ける鍵があります。
それが「運動」です。
GLUTには10種類以上の型があり、細胞によって型が違ってきます。筋肉にはGLUT4、GLUT8、GLUT11が発見されています。最近の研究で、運動によってできるATPというエネルギーの分解産物がAMPキナーゼという酵素を活性化し、それがブドウ糖を取り込む仲立ちをしていることがわかってきました。
運動は「食後30分に歩くこと」。
食前の運動は、必ずしも食後の血糖値上昇を抑えないからです。運動をすると、細胞はエネルギーとして血糖を必要とするために、肝臓に貯えられたグリコーゲンが分解されてブドウ糖となって血中に放出されます。そのため、食前の運動はむしろ血糖値が上がったり下がったりで、不規則になってしまいます。また、血糖降下剤を服用している人は低血糖になる心配もあります。
それに対して、食後30分に運動すると血糖値は確実に下がります。
そしてインスリン以外のものが関与する細胞への血糖の取り込みによって、運動を終えた後もブドウ糖の吸収が続き、血糖値は下がり続けるのです。
筋肉の活動によってブドウ糖の取り込みが増加する代謝改善の効果を「急性効果」と言います。一時的に、食後に運動を実施することで食後の血糖値の上昇を抑制することができます。
また、運動の継続に対する筋肉の適応が「慢性効果(トレーニング効果)」と言います。この「慢性効果」は、運動の継続によって筋肉のインスリンの感受性が改善することで得られます。しかし運動不足な状態が続くと、筋肉のミトコンドリアが減少し、糖や脂肪の代謝が低下してしまい、インスリン抵抗性が増加してしまいます。研究によってもインスリン感受性の改善効果は、運動中止後6日間で消失してしまうと言われています。
ぜひ運動を習慣化してください!
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。
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