筋トレしても効果が出ない/不調続きの理由とは?
代々木上原のメディカルフィットネスViPro国沢です。
突然ですが、あなたは筋トレをしていますか?筋力アップすることでカラダづくりはもちろん、慢性的なカラダの不調改善に取り組む方も少なくありません。フィットネスジムは増加傾向にあり、ジムでカラダを動かすことを楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。
今回は「筋トレ」をしたい、「不調を改善したい」という方に、必ず読んでいただきたい内容です。もしかしたらあなたは、筋トレしても効果が出ないカラダになっているかもしれないのです。
目次
⒈「筋力制限」とは
「筋力制限」という言葉を初めて聞くという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
「筋力制限」という言葉自体は世の中にはあまり浸透していませんが、多くの方がその現象を日常生活の中で感じたことがあると思います。朝起きたときに「今日はカラダがダルい、重い。。。」と感じた経験はありますよね。逆に「今日はカラダが軽くて調子が良いぞ!」と感じた経験もあると思います。
この違いは何が原因なのでしょうか?
もちろん体重が急に重たくなったり軽くなったりするはずはありません。気持ちの問題でしょ⁈という方もいるかもしれません。確かに気持ちによってカラダの重たさ軽さの体感は変化します。しかし気持ちによって体重が変化することはありません。
実は変化しているのは「筋力」なのです。
カラダが軽く感じるのは、持っている筋肉が筋力としてしっかり発揮されているときです。また逆にカラダが重たく感じるのは、持っている筋肉が筋力として発揮されていないときなのです。この筋力が発揮されずにいることを「筋力制限」がある状態と言えます。つまり「筋力制限」とは、持っている筋肉が制限を受けて、筋力として発揮されていないことを言います。
ではなぜ、筋力が制限を受けてしまうのでしょうか?
⒉「筋力制限」の原因とは?
ではなぜ筋力が制限を受けてしまうのでしょうか?
Ⅰニュートン力学第3の法則/作用–反作用の法則
物理学で説明することができます。学生時代に勉強した「ニュートン力学第3の法則/作用–反作用の法則」を覚えていますか?
物体に力(作用力)が加わると、物体は同じ大きさの力で押し返す(反作用力)という性質を持ちます。つまり押せば同じ力で押され、引けば同じ力で引かれるという常にどんな力であっても作用と反作用がペアとなって存在しているのです。
人においてもこの法則が当てはまり、人が力を出す(作用)と、それと同じ力がカラダに戻ってきます(反作用)。人のカラダはその戻ってきた力(反作用力)を吸収しなければなりません。そしてその戻ってきた力(反作用力)を吸収するのが、脊柱・骨盤の役割になります。
Ⅱ脊柱・骨盤の働き
人の運動においては筋力が作用力、そして反作用力を吸収するのが脊柱骨盤機能になります。脊柱には、頚椎・胸椎・腰椎があり、前弯・後弯・前弯と3つの弯曲があります。この脊柱の3つの弯曲がカラダのバネの役割となり、反作用力を吸収してくれます。
例えば、何らかの原因で脊柱の動きが悪くなり硬くなってしまったとします。そうすると脊柱がもつバネの機能も落ちることになるので、反作用力を吸収する機能も落ちてしまいます。
ということは、
「作用力=反作用力」で成立していた運動が、「作用力>反作用力↓」になってしまい、運動が成立しなくなってしまいます。そこで起こる現象が「筋力制限」です。カラダが筋力を制限して発揮させないようにすることで、「作用力↓=反作用力↓」の状態を作るのです。
これが「筋力制限」が起こるメカニズムであり、原因になります。
⒊「筋力制限」の有無をチェックするためには?
それでは、ご自身の筋肉に「筋力制限」があるのか、ないのかどのようにチェックしたら良いのでしょうか?
まず理解していただきたいのが、「筋力」は「筋肉量」に比例するということです。つまり、筋肉の量が多いほど強い筋力が発揮され、筋肉量が少ないほど筋力は弱くなってしまうのです。筋肉量と筋力の相関が医学的データとして発表されていますので、そのデータと測定したご自身の筋肉量と筋力を比較します。データとほぼ一致していれば「筋力制限」はナシ。データとズレがあれば「筋力制限」アリと判断されます。
当施設で採用している筋肉量と筋力の測定指標について解説します。
Ⅰ筋肉量(%MV)を知ろう
筋肉量の測定には、体組成計を使用します。その測定で得られた数値から筋肉量(%MV:%Muscle Volume)を算出します。この%MVの値は骨格筋の量だけではなく、平滑筋の量なども含めた体の総たんぱく質の量を示しています。
Ⅱ筋力(WBI(体重支持指数))を知ろう
筋力の測定には、WBI(Weight Bearing Index:体重支持指数)を用います。筋力測定器 mobie(モービィ:酒井医療)を使用し、膝伸展筋力を測定します。WBIは、年齢・性別・疾患などに左右されない指標で、目標設定にも使用します。
Ⅲ筋肉量(%MV)と筋力(WBI)の関係とは
測定した筋肉量(%MV)・筋力(WBI)と相関表を比較します。例えば、%MVが72%であればWBIが100あるということになります。
⒋「筋力制限」を解除する方法。
「筋力制限」は持っている筋肉が、筋力としてしっかり発揮できていない状態です。これを解除するために必要なのは筋力トレーニングではありません。「筋力制限」は反作用力を吸収するための脊柱・骨盤のバネ機能が低下した結果です。
つまり筋力制限を解除するためには、脊柱・骨盤のバネ機能を高める「柔性トレーニング」が必要なのです。また脊柱・骨盤のバネ機能が低下してしまう原因は「生活習慣」あることが多いので、併せて生活習慣の見直すコツも解説します。
Ⅰ脊柱骨盤の柔性トレーニング
ここでは脊柱・骨盤の柔性トレーニングの回旋の動きを中心に載せさせていただきました。
*各々体の状態は違いますので、無理はせずに行ってください。不安な方は、お近くのトレーナーなど体の知識がある方にアドバイスをもらってください。またViProへお問い合わせ下さい。
Ⅱ生活習慣の見直し
食生活
食生活の乱れが内臓に負担をかけ、その結果、脊柱骨盤のバネ機能に悪影響を与えてしまいます。その詳しいメカニズムについてはここでは割愛させていただきますが、大切なのは食事の質とタイミングです。ここではタイミングについて解説していきます。
タイミングとはつまり、食事をとる時間です。「内臓のリズムに負担をかけない」ことがポイントとなります。内臓のリズムは24時間で1周期(サーカディアンリズム)となっており、その1周期が8時間ずつ3つにわかれています。
以上の3つの時間帯が崩れるような食事の方法では、内臓への負担が多くなり脊柱骨盤のバネ機能を低下させてしまいます。
睡眠
睡眠不足により脊柱の上部(胸椎の上の方)のバネ機能が低下していきます。理想の睡眠時間は7.5時間です。この睡眠時間は人間がもっている自然治癒力を最大限に引き出すための時間です。
⒌まとめ
『あなたは「筋力制限」かもしれない。』
身体が怠いや、重い、または何らかの不調を感じている方は「筋力制限」になっている可能性が高いです。そして「筋力制限」は、姿勢や歩き方、さらには痛みにも関わってきます。
日常生活による影響
↓
脊柱・骨盤のバネ機能の低下
↓
反作用力の吸収機能が低下
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作用力の低下
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「筋力制限」の完成
これからの生活を楽しく活動的に過ごすためには、「筋力制限」の改善が第一歩になります。「筋力制限」の有無をチェックすることで、おひとりおひとりに合わせた安全で効果的なメニューを作成することができます。あなたの持っている筋肉が筋力としてしっかり働き、毎日快適に動けるようにコンディショニングしていきましょう!