2020.9.6 女性のミカタonlineセミナー <活動報告>
こんにちは!
理学療法士の早川です^_^
9月6日(日)に女性のミカタonlineセミナーを開催しました✨
前回の7月12日(日)から3度目のオンラインセミナーとなります。
今回のメインテーマは佐藤先生の
分子整合栄養医学より「分子レベルで細胞機能を向上させる栄養のお話」✨
身近な「食」の疑問が解決される有意義な時間でした。
大変好評で、今回だけでは皆様物足りず、次回も佐藤先生のご出演を検討しています^_^
今回参加できなかった方は次回ぜひご参加ください!
私はというと、「HRTの基礎講座」をさせて頂きました。
このブログでも講座の内容を少し振り返りたいと思います。
HRTは
ホルモン(Hormon)、
リプレイスメント(Replacement)、
セラピー(Therapy)の頭文字をとったもので
日本語で言うとホルモン補充療法になります。
結論からいうと、「HRTはリスクとベネフィットを正しく理解すること」
これが大切です。
このグラフは加齢による血中のエストロゲン濃度の変化を表しています。
女性は初経を迎えると、そこから大きく女性ホルモン、エストロゲンの分泌が増えます。
出産のため20歳〜30歳がピークとなり、
40代に近づくと徐々に女性ホルモンの分泌は減少し、
更年期である45-55歳くらいの期間では卵巣機能が低下することで
女性ホルモンの分泌が大きく減少して、閉経を迎えます。
一方で男性のエストロゲンのレベルはというと、生涯一定して50pgくらいになります。
更年期以降、実は男性よりも女性の方がエストロゲン濃度は減少してしまいます。
HRTは、この不足したエストロゲンを補うという治療法になります。
次にHRTの投与方法についてご説明します。
HRTの投与方法は主に3つになります。
まず一つ目は「周期的投与法」です。
主に閉経前後の女性が対象で、
実際の月経、生理周期のようなサイクルでエストロゲンとプロゲステロンを投与します。
エストロゲンを使い続けると、子宮内膜を増殖させる作用があるため、
黄体ホルモンを投与して肥厚した内膜を排出させる必要があります。
そのため、月経のような出血があります。
二つ目は「持続併用投与法」です。
これはエストロゲンとプロゲステロンを持続的に投与する方法で、
閉経後、数年経過した女性が対象です。
周期的投与法にある毎月の月経のような出血が嫌という方に向いています。
はじめの3-6ヶ月間は不正出血を見ることがありますが、その後出血はなくなります。
三つ目は「エストロゲン単独投与法」です。
エストロゲンは子宮内膜を増殖させる作用があるため、
黄体ホルモンを投与して肥厚した内膜を排出させなければ、
子宮体がんなどのリスクとなります。
そのため、単独投与は子宮を摘出した人に用います。
更年期障害の治療だけでなく、何らかの原因で子宮を摘出し、
ホルモンバランスが崩れないよう術後のフォローとしても処方されます。
このようにHRTはその女性に適した投与方法を選択することが大切になりますが、
まずHRTを服用するかどうかは
HRTのリスクと利益、ベネフィットのバランスを正しく捉える必要があります。
まずはベネフィットから確認していきましょう。
第一に更年期障害の様々な症状の改善です。
そして骨粗鬆症の予防・改善、
コレステロール、脂質異常症の予防・改善
あとは大腸癌のリスクを軽減させたり
肌や粘膜の潤いなどの美容効果もあります。
HRTには様々なベネフィットがありますが、リスクもあります。
リスクとしては
子宮出血
長期服用による乳がんであったり
脳卒中、
肺塞栓や心筋梗塞が挙げられます。
大切なのは、HRTには様々なベネフィットがありますが、
ベネフィットよりもリスクが高い場合はHRTを選択しないということ。
まず禁忌になるのが、子宮癌、乳がんの既往がある人、
また家族に女性ホルモン依存性の乳がんになった人がいる場合は注意です。
また、脳卒中や心筋梗塞、血栓症の既往がある人や、
糖尿病、高血圧による動脈硬化など
基礎疾患を持っている場合は副作用のリスクが高いので選択しません。
こういった既往や基礎疾患がなければ、リスクはほとんどなくHRTのベネフィットを受けられます。
HRTはリスク、副作用に目が行きがちな部分がありますが、
基本的にはほとんどの人がリスクの心配なくベネフィットを受けられます。
副作用に注目されたのはWHI報告というアメリカの研究が原因となっています。
WHIとは、ウーマンズヘルスイニシアティブという
50才から79才の米国女性1万6608人を対象とした大規模な臨床研究のことで、
2002年、米国国立衛星研究所NIHが
HRTの長期服用はメリットよりもリスクの方が上回る
と発表し、
WHIという大規模な臨床試験で行われていた
HRTの研究を中止したというものです。
なぜ中止にしたかというと、
乳がんのリスクが26%増加したこと
1万人あたり30人から38人に増えたこと
心疾患、冠動脈疾患が9%の減少しか認められなかったこと
(今回の研究の目的が更年期の治療ではなく、心疾患の治療を目的としていて
その期待値は15%の減少だったのが達成できなかったというもの)
脳卒中のリスクが37.5%増加した
(1万人あたり32人から44人に増えた)。
このように主に心疾患の治療としてHRTを研究しているところに
乳がんや脳卒中の人が増えてしまったので
研究を中止にしたという経緯がHRTは危険だと波紋を呼びました。
これを受けて日本ではHRTの2008年のガイドラインに
日本産婦人科学会、日本更年期医学会が更年期症状の改善には
HRTは5年以内、
投与年齢の制限は60才までと発表しました。
しかし、WHI報告には問題点がありました。
乳がんのリスクが26%増加したとありましたが、
実数で見ると1万人あたり30人から38人の増加になります。
これを日本人にあてはめると、
日本はもともと乳がんの割合がアメリカよりも低く1万人あたり8人になります。
26%増加すると11人。
リスクは0.08%から0.11%とわずか0.03%の差しかないということ。
そしてそもそもの問題点として
まず研究に参加した対象者が
ほとんど肥満(アメリカ的な)、
半分以上が喫煙者、
そして
HRTの開始平均年齢が63.3才で高齢だということ、
更年期の治療ではなく、心疾患の予防を目的とした研究だったこと、
対象者は一律に同一の用量、用法であったことなど、
日本の更年期治療で処方されるシチュエーションとかけ離れているため、
この研究を鵜呑みにしてはいけないとなりました。
2008年以降、今日に至るまで日本の婦人科医や婦人科学会は10年間信用を取り戻すために
日本人女性のための更年期治療の正しいデータをとるべく研究してきました。
その中で、
正しく処方すればリスクよりも様々なベネフィットを受けることができる
ということを証明してきました。
そしてこれからはHRTの良さを広めていくための攻めの10年として、
更年期の治療に留まらず、HRTの可能性を広げています。
更年期症状の適切な治療はもちろん、
更年期の時期にHRTを正しく処方することで、
骨粗鬆症や脳心疾患などの老年期疾患の予防、美容など
日々の生活の質を向上させるための前向きな医療として、
新たに研究データを集めており、今後その効果がさらに証明されてくると思います。
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