理学療法士が勧める生活習慣から見直す「高血圧」
理学療法士が今回のテーマは生活習慣から見直す「高血圧」です。
生活習慣病とは「高血圧」「脂質異常症」「糖尿病」「肥満(メタボリックシンドローム)」といった普段の生活習慣が発症や進行に関わる病気です。これらの生活習慣病は主に動脈硬化をもたらします。
動脈硬化とは、血管の動脈が硬くなり弾力性を失ってしまうこと。
それにより血液の流れが悪くなり、さらに重症になると血液の流れが滞って、ある日突然「心筋梗塞」「脳梗塞」など取り返しのつかない病気にかかってしまう危険があります。
そんな生活習慣病の原因はというと、ズバリその名の通り「生活習慣」がもとで引き起こります。しかし、生活習慣が原因なのに、それを改めずに薬のみで対応してしまっている現状は少なくありません。患者さん本人も重症化するまで特にこれといった自覚症状がないことが多いので、あまり危機感がないことも原因です。
そこで今回は生活習慣が体に与える影響を解説し、できる限り薬に頼らず生活習慣病を改善、予防していく生き方を一緒に考えてみたいと思います。
初回は「高血圧」です!
目次
1.血圧とは?
そもそも血圧とは何を表しているか分かりますか?
血圧そのものが今日のように測定できるようになったのは100年ほど前のことです。
心臓の収縮によって血管内に生じる圧力が血圧です。
血圧は、心臓が収縮して血液を送り出すときにもっとも高くなります。逆に、大動脈の弁が閉じ、心臓が膨らんで血液を溜め込んでいるときにもっとも低くなります。1番高い血圧や1番低い血圧を単に「上」「下」と呼んだりしますが、正しくはそれぞれ「収縮期血圧」と「拡張期血圧」といいます。
2.高血圧について
高血圧とは、血管(動脈)にかかる血液の圧力の値が何らかの原因によって正常より高くなってしまった病気です。上(収縮期血圧)が140mmHg以上または下(拡張期血圧)が90mmHg以上の場合をいいます。高血圧は成人の20-25%にみられるとても多い生活習慣病です。
高血圧のほとんどは原因のわからない「本態性高血圧」で、腎臓に問題があるなど他の病気が原因で血圧が上がる場合は「二次性高血圧」と区別しています。日本では本態性高血圧、つまり原因不明の高血圧が約90%を占めています。
この原因が分からない高血圧に対して、降圧剤などの薬によって数値だけを下げてしまっている問題があります。
確かに高血圧が長期に続くと、動脈硬化を引き起こし心筋梗塞や脳梗塞になるリスクはありますが、血圧が高いからといってすぐにどうこうなるわけではありません。そもそも血圧は酸素や栄養素を全身の細胞に運ぶという大切な役割があります。
血圧が高くなるにはそれなりの理由があります。それを原因を特定せずに、ただ薬で血圧だけを下げるということは、車でいうとアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものなのです。
それでは、なぜ血圧は高くなるのでしょうか?
3.高血圧の原因は?
血圧が高くなる原因はひとつではなく、いろいろあります。
まず、加齢に伴なってある程度血圧が高くなることは自然のことです。誰でもある程度は加齢に伴って血液の循環が悪くなるので、酸素や栄養分を細胞の隅々まで送り届けるのが困難になります。そこで心臓は送り出す圧力を強くして、血圧を上げて栄養を全身に送り届けようとするのです。
この他にはどんな原因が考えられるでしょうか?
一般的にいわれているのが「塩分」「ストレス」「たばこ」などが挙げられます。
Ⅰ.塩分
塩分で血圧が上がるということには腎臓の塩分排出能力という遺伝が関係しています。なので、塩分を控えれば誰でも血圧が下がるということではありません。でも、塩分が多めであると高血圧傾向があることは事実です。
体内の塩分濃度が高くなりすぎると、「水で薄めよ」という指令が脳に届きます。そして、尿の量を少なくして体に水分を溜め込みます。すると、「レニン」というホルモンの働きで血圧を上げて尿の出をよくし、塩分を尿中にたくさん排泄させることによって減らすようにしようとするのです。
Ⅱ.ストレス
ストレスがかかったときに分泌されるアドレナリンなどのホルモンは生命の危機にはもっとも重要な役割をもっていますが、血圧上昇物質でもあります。また、空腹を我慢することも影響します。空腹になって血糖値が下がるとアドレナリンが分泌され、グリコーゲンをブトウ糖に変えて血糖値を上げるからです。
Ⅲ.たばこ
たばこのニコチンにはリラックスの副交感神経を優位にさせる作用がありますが、その副交感神経優位を打ち消すために体が反応して、アドレナリンが分泌されます。それが血管を収縮させてしまい、結局は血圧が上がってしまうのです。また、一酸化炭素がヘモグロビンに結びついてしまい、酸素がヘモグロビンに結びつくのを妨げてしまうので、細胞に酸素が届きにくくなります。そのため、組織は酸素不足となり、血管の動脈硬化も進みやすくなります。
Ⅳ.体力低下
体力の低下は自律神経のバランスを乱してしまいます。体力が低下してしまうと、日常生活で交感神経優位の状態になります。
これは働く筋肉の種類の違いによるものです。
筋肉には遅筋と速筋という2つの種類があり、通常の日常生活では主に遅筋が使われます。一方、激しい運動をするような場面では主に速筋が使われます。
しかし、体力が低下してくると日常生活でも速筋が使われるようになってしまいます。速筋というのは無酸素性代謝(細胞が酸素を使わずにエネルギーを作る代謝)で、交感神経優位の状態を引き起こします。そして、日常生活で交感神経優位の状態が続くことで高血圧になってしまうのです。
ある研究で、高血圧と診断された数百名の患者さんに対して低体力を改善したところ、95%の患者さんは降圧剤は必要なくなったという報告があります。
ちなみに低体力とは自身の体重を筋力でしっかりと支えきれていない状態をいいます。大体、体重の約80%を筋力で支えきれなくなってくると、日常生活でも速筋が主に使われるようになってしまうと言われています。
高血圧の原因に肥満や運動不足が影響するのはこのためです。
4.高血圧を改善するには
薬で血圧の数字だけを下げるのではなく、何が原因で高血圧を引き起こしているのかを考え、生活習慣から見直していくことが必要です。
その中でも特に大切なものが「運動」です。
日常の活動量が多いことと血圧の値が低いことは密に関連しています。
通勤歩行時間の統計では
10分以下の歩行を高血圧の発症危険度を1とすると、
11〜20分の歩行では、0.91
21分以上の歩行では、0.70
と歩行時間が長くなるにつれて高血圧の発症の危険度が有意に低下します。
ランニングにおいては
1週間に40km以上ランニングを行う男性は、1週間に8km未満の男性に比べて、
35-44歳で80%
45-54歳で66%
55-64歳で69%
に低下させること
が示されています。
運動によって血圧を下げる効果は、正常な血圧の人よりも高血圧の人で大きくなると言われています。また、正常な人でも最高血圧を2mmHg下げることにより心血管疾患のリスクを4%、脳卒中を6%低下させられることも報告されています。
オススメは「歩くこと」です。
1日の中で今までよりも「10分=1,000歩」多めに歩く機会作っていきましょう!
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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