体調を左右する自律神経の鍛え方 -メディカルフィットネスViPro-
こんにちは、メディカルフィットネスViProの早川です。
お盆休みは終わりましたが、暑い夏がまだまだ続いていますね。エアコンのおかげで何とか過ごしていますが、外との気温差で体調を崩される方も多いようです。気温差が大きいとそれだけ自律神経への負担も大きくなります。
今回はそんな日々の体調にも大きく影響する「自律神経」について解説します。
「疲れやすい」「体調が天気に影響されやすい」など、そのような方のために自律神経を鍛える方法をお伝え致します。
目次
1.自律神経とは
自律神経とは、人間の生命活動の根幹=ライフラインを支えている源であり、内臓を動かし、血液を作り、血管の収縮を管理するなど、意志とは無関係に体の働きを司る神経です。
体は「交感神経」と「副交感神経」という相反する働きをする2つの自律神経によってコントロールされています。
交感神経とは、車に例えればアクセルです。交感神経の働きが上がると、体はぐんとアクティブな状態になります。血管は収縮し、血圧が上昇し、気持ちも高揚してアグレッシブな方向に向かいます。
一方、副交感神経とは、車に例えればブレーキです。副交感神経の働きが上がると、体はどんどんリラックスの状態になります。血管は適度な状態で緩み、血圧は低下し、気持ちも穏やかになってゆったり落ち着いた方向に向かいます。
そして、車の運転でもアクセルとブレーキのバランスが正しくとれていることが大切なように、自律神経も「交感神経」と「副交感神経」のバランスがとれていることが大切です。
2.自律神経と免疫の関係について
免疫の中心を担っているのは、血液中の白血球という成分です。
白血球には、細菌など比較的大きめな異物を処理する「顆粒球」と、ウィルスなどそれよりも小さな異物を処理する「リンパ球」の2つがあります。これらは交感神経が優位になると顆粒球が増え、副交感神経が優位になるとリンパ球が増えるという特性があることがわかっています。
交感神経が過剰に優位な状態が長く続くことで顆粒球が増え過ぎてしまうと、健康維持に必要な常在菌まで殺してしまい、免疫力を下げることになります。
副交感神経が過剰に優位な状態が長く続くことでリンパ球が増え過ぎてしまうと、抗原に敏感になりすぎて、ほんのわずかな抗原にも反応してしまう「アレルギー」を起こしやすくなります。
つまり、自律神経のバランスがよいと白血球のバランスもよくなりますが、自律神経のバランスが崩れると白血球のバランスも崩れてしまうので、免疫力が下がってしまうのです。
3.自律神経と筋力の関係について
肩こりや腰痛など、慢性的な疾患や長期間続くストレスを抱えていると、交感神経が過剰に優位な状態、「交感神経活動異常」になります。この状態が長く続くと、背骨や肋骨の周辺にある呼吸筋が緊張を引き起こします。
これは、交感神経が脊髄の胸髄というところで呼吸筋の運動神経とリンクしているためです。
持続的な呼吸筋の緊張は背骨や肋骨の動きを硬くし、背骨のS字カーブから生まれるバネのようなしなやかさ「弯曲(わんきょく)機能」を低下させます。
背骨の弯曲機能が低下すると、「筋力制限」を引き起こします。
筋力制限とは、持っている筋肉がしっかり筋力として発揮できない状態のことをいいます。発揮できる筋力が低下すると、体重が同じでもカラダが重い、ダルいと感じるようになってしまいます。
4.自律神経が乱れる原因は?
Ⅰ.ストレス
人はストレスを感じることで、体内では交感神経がコントロールする副腎皮質から「副腎皮質ホルモン」が分泌されます。と同時に副腎皮質の中ではアドレナリンなどが分泌されます。
副腎皮質ホルモンやアドレナリンは、血糖値上昇や血圧上昇、免疫抑制、胃酸分泌促進、覚醒などを引き起こす作用があり、交感神経を優位にする働きがあります。ストレスを受け続けると交感神経優位の状態になってしまうため、副交感神経とのバランスが崩れてしまいます。
人がストレスを感じる環境はさまざま。
人間関係や仕事のプレッシャー、緊張といったものだけでなく、過労やケガ、温度、音、光などもストレスの原因となり、自律神経の乱れを引き起こします。
Ⅱ.不規則な生活習慣
私たちのカラダは、規則的な生体リズムのもと、さまざまな器官がその役割を果たしています。
しかし、慢性的な睡眠不足や睡眠・起床時間がバラバラ、深夜のスマホやパソコンの使用、決まった時間帯で取れない食事など、不規則な生活習慣を続けてしまうと生体リズムが狂い、自律神経のバランスも乱れてしまいます。
Ⅲ.ホルモンバランス
女性の場合は、特に更年期を迎えている女性はホルモンバランスも自律神経の機能に大きく影響します。女性ホルモンは、脳の視床下部から脳下垂体へ、そして卵巣へと指令が伝えられて分泌されます。この視床下部には自律神経をコントロールする働きもあるため、更年期に女性ホルモンが急激に減少すると、司令部の視床下部にも影響し、自律神経のバランスが乱れてしまいます。
女性ホルモンの分泌量を司さどっているのは、脳の視床下部と脳下垂体というところ。特に視床下部は、血流、血圧、心拍、発汗、体温などに関わる自律神経や内分泌系、免疫系、感情などもコントロールする働きをしています。閉経が近づくにつれて卵巣機能が低下し、女性ホルモンが減少してくると、脳はホルモンをなんとかして回復させようと頑張ります。視床下部から脳下垂体、そして卵巣という流れで「もっとホルモンを出せ!」と命令を出します。
しかし、卵巣はその指令に答えることができなくなってきているので、脳は混乱してしまいます。その影響を受けて、自律神経のバランスが乱れてしまうというわけです。
Ⅳ.体力不足
そして、自律神経の働きに大きく影響しているのが体力です。
体力といっても色々な考え方がありますが、ここでは体重に対する筋力のことをいいます。日常生活の中で、自分の体重をどれだけ筋力で支えられているかが重要になります。運動不足による筋力低下や体重の増加によって体を支えられなくなると、筋肉は無理をして力を出します。このとき筋肉は、酸素を使わずにエネルギーを産生する無酸素運動になります。
無酸素運動は交感神経を強く刺激します。
本来、運動の時に働く無酸素運動を日常生活から行っていると、交感神経優位の状態になってしまい、自律神経のバランスが乱れてしまいます。
5.自律神経を鍛える方法
このように自律神経のバランスが乱れてしまう原因は様々あります。
日々の生活の中で、自身の生活習慣を改めることで負担を減らすことができれば理想ですが、現代の忙しい毎日ではなかなか全てをコントロールすることは難しいと思います。
そこで今回は、自律神経を鍛えることで忙しい毎日の中でもバランスが保てる方法をお伝えします。
Ⅰ.呼吸法
まずは「深呼吸」です。
深呼吸では副交感神経の機能を高めることが分かっています。
方法は「4・7・8呼吸法」です。
①口をすぼめて、口から息を完全に吐き出します。
②口を閉じて鼻から静かに深く息を吸いながら、4秒数えます。
③息を止めて、7秒数えます。
④口からふうーという音とともに息を吐きながら、8秒数えます。
⑤ ステップ②〜④を繰り返し、全部で4セット行います。
Ⅱ.上限脈拍設定法
次は「上限脈拍設定法」です。
これは自転車エルゴメータを使った有酸素運動になります。最近では、心機能を高めることで自律神経の機能を高められることが分かっています。自律神経を車に例えて、交感神経がアクセル、副交感神経をブレーキとすると、心機能を高めることでアクセルもブレーキも反応が良くなることが確認されています。
つまり生活においてオンとオフの切り替えがスムーズになるということです。
心機能を高める有酸素運動の中で、あえて自転車エルゴメータを使う理由は、自律神経の機能が向上していくのをチェックできるからです。鍛えていく中で、実際に自律神経機能がどの程度高まっているのかを確認するのは難しいことです。
そこで、自律神経機能の影響が強い心機能(心拍数)をチェックすることで、間接的に自律神経の機能が高まっていくことを確認します。方法は自転車エルゴメータで運動する際に心拍数(脈拍)の上限を90〜100拍に設定します。そして、15〜20分の運動でワット数(最大仕事量)がいくつかをチェックします。心拍数の上限を一定にしたままで、どれくらいワット数が増えていくかをチェックすることで心機能の向上、つまりは自律神経機能の向上を確認していきます。
例えば、最初の運動では心拍数の上限を90拍までとした場合、20W(ワット)までしかできませんでした。次に2回目の運動では心拍数の上限を同じ90拍までとして行ったところ、今度は35Wまで運動することができました。そして、3回目では45W、4回目では55Wと向上しました。
これは、同じ心拍数で多くの運動が行えるようになったということになり、心機能が向上、つまりは自律神経の機能が向上しているということになります。自律神経がどの程度鍛えられているのかを確認するには「上限脈拍設定法」が最適です。
ぜひ取り入れてみてください!
Ⅲ.低負荷高頻度の筋力トレーニング
上限脈拍設定法の考え方を元に、筋力トレーニングをすることでも自律神経を鍛えることができます。そのトレーニング方法は「低負荷高頻度」、つまり軽い運動をたくさん行うというものになります。
自律神経機能を向上させるコツは、できる限り交感神経の活動を抑えて運動します。運動自体は交感神経を刺激しますが、できる限りその活動を抑えて運動することが重要です。それには筋肉が酸素を使わないでエネルギーを生み出す無酸素運動ではなく、筋肉が酸素を使ってエネルギーを生み出す有酸素運動を行う必要があります。無酸素運動は交感神経を強く刺激するからです。
無酸素運動か有酸素運動かを決めるのは、運動する負荷の強さです。
高い負荷の運動、例えば重い重量をギリギリ10回行うような運動は無酸素運動になります。
一方、軽い負荷の運動、40〜50回くらい行うことで疲れを感じる運動は有酸素運動になります。
この有酸素運動によって筋肉を鍛えることで、体重に見合った筋力、すなわち生活に必要な体力を獲得します。高い体力を獲得することは、日常生活における自律神経の働きに余裕が持てることになるのです。
今回、自律神経の働きやバランスが崩れてしまう原因、それを防ぐための鍛え方をお伝えさせて頂きました。
皆様が快適に過ごす一助になれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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