これまでの常識が変わる?筋力トレーニングのルールを医学的に解説
こんにちは、ViProの早川です。
突然ですが、筋力トレーニングと聞くとどのようなイメージを抱きますか?
重たいダンベルを持ち上げていたり、限界ギリギリまで追い込むことで筋力アップを目指す方も多いのではないでしょうか?もしかしたら皆さんの中にも、トレッドミルをひたすらに頑張って走り続けたり、重量挙げも重たい負荷で鍛え続けるなどはしていませんか?
実はViProでは、皆さんの想像する「筋力トレーニング」とは少し違ったトレーニングを行っています。それは医学的根拠に基づいて、効果を最大化することを目的としているからです。
そこで今回は医学的データから筋トレのルールを解説していきます。
目次
⒈「筋力トレーニング」の目的
皆さんはどうして筋力トレーニングをされているのですか?24時間営業のジムや小規模ジムがたくさんできてきて、トレーニングをする方は増えてきていると思います。
・日常生活をより楽に行えるようになる為。
・慢性的な疾患を改善、予防する為。
・スポーツのパフォーマンスを上げる為。
・ダイエットの為。
など目的は様々だと思います。
明確な目的がありながらもゴールに向かう過程、つまり、やり方が正しくない場合が多いように感じられます。
⒉「筋力トレーニング」負荷の目安
実際にトレーニングジムでは顔を歪ませて、息をこらえながら必死に筋トレをしている方がよくいらっしゃいます。トレーニングマシンの横には「10〜15回できる負荷で2〜3セット行って下さい」と標記されています。さて、このトレーニング方法は果たして正しいのでしょうか?
まず、結論から言うと上記のようなトレーニング方法は医学的にはオススメできません。
この「10〜15回できる負荷」というのは「DeLome(デローム)のRM(Repetition Maximum:反復最大負荷)の考え方をモデルにしていると思います。1回につき最大できる重量を1RMといい、10回なんとかできる重量を10RMとして基準に行うトレーニング方法です。
しかし、健康な人やアスリートには適用できますが、運動不足の人には負荷が強すぎるとの指摘が以前からありました。
Ⅰトレーニングの負荷量
では、どの程度の負荷が適切なのでしょうか?
筋力トレーニングは「過負荷の法則」に基づいています。過負荷の法則とは、負荷(ストレス)を受けると、そのストレスに耐えられるように筋力は向上するので、トレーニングの効果を得るためには日常生活レベル(今までの活動)よりも大きい負荷を与え続ける必要があると言うものです。
負荷の目安として、
最大筋力の『20%以下』のトレーニングでは筋力低下。
最大筋力の『20〜30%』のトレーニングでは変化なし。
最大筋力の『30%以上』のトレーニングから筋力向上。
最大筋力の『50%』のトレーニングで最大の効果。
最大筋力の『50%以上』のトレーニングは効果は変わらない。
という報告があります。
つまり、最大筋力の35〜45%程度のトレーニングが最適となります。
実際にはどの程度の負荷かというと、そのトレーニングを30回行っても疲労感がなく、フォームやリズムが崩れない強度で、40〜50回行うというものです。先ほどのRMで言うと、40〜50RMとなりますので、10〜15RMの負荷は強すぎると言えます。また、最大筋力の50%以上のトレーニングは効果が変わらない上に、筋肉痛や運動による障害のリスクも上がるため、トレーニングのメリットよりもデメリットの方が大きくなってしまいます。
Ⅱトレーニングの頻度
またトレーニング行う「運動の頻度」ですが、
2週間に1回では効果なし、
1週間に1回から効果が出始め、
毎日行うのが最大の効果、
という報告もあります。
まとめると、「40〜50回できる低負荷高頻度の運動を週2回以上行うトレーニング」が医学的に安全で効果的な方法となります。
※リハビリとして、ある特定の筋肉の働きを回復させる(促通)目的で運動を行っている場合はその専門家の指導に従って下さい。
⒊「筋力トレーニング」における医学的知見
Ⅰ速筋と遅筋の関係
筋力トレーニングにおいて、最大筋力の何%の運動をしているのかというのが重要になります。最大筋力の30%以内の運動ではトレーニング効果は出ないとの報告があります。最大筋力の20%以内の運動では筋肉の「遅筋」のみが働きます。
「遅筋」というのは、力は弱いが持久力に優れた筋肉になります。そして、最大筋力の20%を超えると徐々に「速筋」も働いてきます。
「速筋」というのは、疲れやすいが瞬時に大きな力が出せる筋肉になります。トレーニング効果を得るには、この速筋の働きが必要になります。最大筋力の30%を超えるところから、しっかりと遅筋と速筋が一緒に働くことではじめてトレーニング効果が出始めます。そこから最大筋力の50%まで負荷をかければかけるほどトレーニング効果が大きくなります。
しかし、最大筋力の50%を超えると速筋しか働かず、それ以上負荷を上げてもトレーニング効果は変わらないという報告があります。
トレーニング効果が変わらなければ、それ以上負荷を上げても今度はトレーニングによる筋肉の損傷や筋肉痛、その他の障害のリスクなどが大きくなってしまいます。そこで、最大筋力の35〜45%程度の運動が有効となってくるのです。具体的な目安として、30回行ってもフォームやリズムが崩れない負荷量で、40〜50回できる低負荷高頻度の運動となります。
まとめると、医学的に安全で効果的な方法として「40〜50回できる低負荷高頻度の運動」を行う理由は、最大筋力の35〜45%の負荷量にすることで「遅筋と速筋を一緒に働かせること」にあります。
⒋「筋力トレーニング」によるエネルギー代謝
Ⅰ無酸素代謝と有酸素代謝
運動による筋力の大きさによって働く筋肉の種類(遅筋と速筋)が変わるメカニズムを解説したいと思います。
まずは遅筋と速筋が用いるエネルギーの代謝をご説明します。遅筋は酸素を用いた有酸素性代謝によってエネルギーを産生し働きます。一方、速筋は酸素を用いない無酸素性代謝によってエネルギーを産生し働きます。最大筋力の20%までの運動では、有酸素性代謝によって遅筋のみが働きます。
最大筋力の20%を超えると、有酸素性代謝に無酸素性代謝が加わり、遅筋と速筋が一緒に働きます。そして最大筋力の50%を超えると、無酸素性代謝のみになり、速筋だけが働きます。
医学的におすすめのトレーニングは最大筋力の35〜45%の運動で、有酸素性代謝と無酸素性代謝が同時に起こり、速筋と遅筋が一緒に働くことにあります。
Ⅱ筋肉にかかる圧力(筋内圧)
次に有酸素性代謝と無酸素性代謝の切り替わりのメカニズムを解説します。
有酸素性代謝はその名の通り、酸素を用いてエネルギーを産生します。酸素を用いるためには血液が必要で、運動中においても筋肉の血行を保つ必要があります。しかし、筋肉は力が入ると圧力がかかり、血行を阻害します。これを「筋内圧」といいます。
筋内圧は運動によって筋力を上げると徐々に増加し、最大筋力の50%を超える運動ではその圧力によって血行を遮断してしまいます。血行が遮断されることで筋肉に酸素が行かなくなり、有酸素性代謝から無酸素性代謝に切り替わるのです。最大筋力の20%までの運動では血行は保たれており、そこから筋力を上げると筋内圧によって徐々に血行が低下していき、最大筋力の50%を超えたところで遮断されます。
これが有酸素性代謝から無酸素性代謝へ切り替わる、つまりは遅筋から速筋に切り替わるメカニズムになります。
まとめ
まとめると、医学的に安全で効果的なトレーニング方法は、 最大筋力の35〜45%の負荷量にすることで筋内圧を抑えて血行を保つことにより、有酸素性代謝と無酸素性代謝を同時に起こし、遅筋と速筋を一緒に働かせることになります。その具体的な方法が「40〜50回できる低負荷高頻度の運動を週2回以上行うトレーニング」となるのです。
しかし最大筋力の35〜45%で、40〜50回できる負荷量といってもわかりにくと思われる方もいると思います。
わかりやすい「簡易的なトレーニング指標」を提示しますので参考にしてみてください。
⑴ 筋肉痛が起こらない
⑵疲れを感じない
⑶汗をかかない
⑷息があがらない
⑸トレーニング後のきつさがない
⑹トレーニングを継続したい
是非、参考にしていただき「安全で効果的なトレーニング」を進めて下さい!
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