理学療法士が考える変形性股関節症のコンディショニング 〜メディカルフィットネスViPro代々木上原〜
こんにちは✨
理学療法士の早川です^_^
メディカルフィットネスViProは、健康な人が集まる一般的なスポーツジムとは違い、
何かしら体の不調を抱えている人がご利用しています。
不調の中で多いのが、「関節の変形」です。
今回は変形性股関節症について解説していきます。
目次
Ⅰ.変形性股関節症とは
股関節のクッションの役目を果たしている軟骨が摩耗し、股関節の受け皿の部分である骨盤の臼蓋と脚の大腿骨の付け根である骨頭が変形していく病気です。
中高年女性に起こりやすいのが特徴です。
最初は立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じます。
次第に足の爪切りや靴下を履くこと、和式トイレの使用や正座が困難になります。
また、長い時間立っていたり歩いたりすることもつらくなります。
症状が進行して、安静にしていても痛みを感じるようになれば、人工関節に置き換える手術も必要となります。
Ⅱ.変形性股関節症の原因
①一次性とニ次性
原因は大きく一次性とニ次性に分けられます。
一次性は明らかな原因がなく、関節の変形が起きてくるもの。
これは加齢などにより関節の軟骨細胞がしっかりと働かなくなったためと考えられています。
欧米では、一次性が原因の大半を占めています。
二次性は何らかの病気やケガが原因で関節の変形が起きてくるもの。
日本では、二次性が大半を占めます。
先天性股関節脱臼と臼蓋形成不全によるものが約90%になります。
他には、ペルテス病、特発性大腿骨頭壊死症、関節唇損傷などがあります。
・先天性股関節脱臼とは
生まれつき股関節が脱臼しているものをいいます。
原因は解明されていませんが、子宮内での異常姿勢や遺伝などが考えられています。
・臼蓋形成不全とは
臼蓋(骨盤になる股関節の屋根に当たる部分)の不完全な発育をいいます。
大腿骨頭への被りが浅く、関節のかみ合わせが不十分な状態です。
先天性股関節脱臼が原因のものと、成長期に臼蓋の発育が正常に進まない原因のものがあります。
中年以降に痛みが出て、はじめて臼蓋形成不全と診断される場合もあります。
臼蓋形成不全は、昔の布おむつをする際、足を伸ばしてあてることが股関節の発育に関係しているといわれています。
紙おむつが主流になった近年では形成不全は減ってきています。
②体重と筋力のバランス
そもそも関節が変形を起こす原因として、体重と筋力のバランスがあります。
人が地球上で生活する上で逃れられないものは「重力」になります。
地球における重力とは、体重です。
体重を支えるには、それに見合う筋力が必要となります。
体重をしっかりと筋力で支えている状態を「筋性支持」といいます。
しかし、運動不足などで筋力が低下してしまうと、体重を支える筋力が不足してしまいます。
体重を支える筋力が不足すると、代わりに靭帯や骨、関節などで体を支えるようになります。
これを「骨性支持」といいます。
この骨性支持の状態が長く続くと、関節の変形を引き起こす要因となります。
体重が増えたり筋力が低下したりすると、体重と筋力のバランスが崩れ、体重を支える筋力が不足します。
不足した筋力の代わりに骨で体重を支えるには、関節の適合面の表面積を増やし、安定するように関節の動きを固めてしまう必要があります。
つまり、変形は体重と筋力のバランスが崩れた結果になります。
体重と筋力のバランスは「体重支持指数WBI」で評価することができます。
・WBIについて
WBIはWeight Bearing Indexの略で、日本語で「体重支持指数」といいいます。
「自分の体重をどれくらい筋力で支えられているか」を表しています。
WBI 100は、自分の体重を100%筋力で支えている状態。
WBI 80が健康な日常生活を送る上でとても重要なラインになります。
WBI 80を下回ると、
骨、関節にかかる負担⬆︎
自律神経の負担⬆︎
心肺機能の負担⬆︎
慢性疼痛のリスク⬆︎
自然治癒力⬇︎
といった問題が起きやすくなります。
・WBIの測定
WBIの計測は、大腿四頭筋という太ももの前の筋力を体重で正規化することで測ります。
正確な計測には医療機器が必要ですが、立ち上がりテストで簡易的に測ることができます。
図のように、椅子や台などに座り、反動をつけずに片足で立ち上がります。
立ち上がったら3秒間キープ。
これを様々な高さで行い、より低い位置から立ち上がることができればOK。
目標のWBI 80は30cmの高さの台から片足で立ち上がる必要があります。
ぜひトライしてみてください。
(体力WBIについて詳しくはこちら:https://vipro2016.jp/blog/wbi/)
③脊柱機能の低下
・バッファリングファンクションの低下
正常な脊柱はS字カーブがあり、その弯曲(カーブ)が衝撃吸収のサスペンション機能を担っています。
この機能をバッファリングファンクションといいます。
S字カーブがバネの役割をし、抗力を発揮しています。
ヒトの脊柱は弯曲が3つあり、弯曲がない場合と比べて10倍もの抗力を生み出します。
バッファリングファンクションが低下すると、体重や運動時の衝撃を吸収できないので関節への負担が増えます。
関節への持続的な負担は変形を引き起こす一因となります。
・脊柱機能と筋力制限
また、バッファリングファンクションの低下は筋力制限を引き起こします。
筋力制限とは、本来持っている筋肉が働かず、筋力が十分に発揮できない状態です。
慢性的な症状を抱えている人は、健康な人と比べて平均で30%も筋力が出ないという報告もあります。
筋力制限を引き起こす原因はバッファリングファンクション、つまり脊柱の柔軟性低下になります。
(筋力制限について詳しくはこちら:https://vipro2016.jp/blog/suppression-of-muscle-output/)
人が力を出すと、実はそれと同じ力が身体に跳ね返ってくる
という運動のルール(作用反作用の法則)があります。
筋力を出すとそれと同じ力が身体に跳ね返ってくるので、
その跳ね返ってくる力を吸収できる脊柱の柔軟性が必要になってきます。
つまり、大きな筋力を出すには、それだけの力を吸収できる脊柱の柔軟性が必要になります。
逆に吸収できる脊柱の柔軟性が低下した場合、出す筋力を小さくしないと身体が壊れてしまいます。
そのため、身体を守るために脳は力を出さないように筋力制限をかけるのです。
筋力制限により筋力の発揮が低下していたり、不安定な状態だと股関節の適合性(かみ合わせ)も安定しません。
関節のかみ合わせが不十分だと本来の効率の良い関節の動きではなくなってしまいます。
関節面に余計なストレスをかけてしまい、変形の一因となります。
・脊柱機能と股関節機能の関係
バッファリングファンクションの他に脊柱にはもう一つ重要な機能があります。
それは「運動の中心軸」であること。
私たちの運動のほとんど背骨や骨盤が起点となり、そこから末梢の手足へと動きが伝達されていきます。
しかし、脊椎などの体の中心部の関節が動かなくなると、それよりも末梢にある関節の動きは通常よりも大きな動きを要求されます。
必要以上に動きを大きくしなければならない関節では、筋肉や腱のオーバーストレッチ(過伸長)が起きます。
また、その逆側の筋肉では必要以上の動作を作るために、無理な収縮、オーバーコントラクション(過収縮)が起きてしまいます。
歩行を例に挙げます。
通常の歩行は脊柱が軸となって回転することで、頭や体のブレも少なく、効率よく脚に力が伝わります。
しかし、脊柱が硬くなり軸としての動きが不十分だと頭や体のブレが大きくなり、股関節の負担が増えてしまいます。
III.変形性股関節症のコンディショニング
以上の原因を踏まえて、変形性股関節症のための予防や改善方法をご紹介します。
基本的には動きの軸となる脊柱の機能を改善すること、体重に見合った筋力、特に股関節周りの筋力を向上することが大切です。
①脊柱〜骨盤の柔軟性向上ストレッチ
・上部体幹ローテーションストレッチ
横向きに寝た姿勢から上の脚をクロスしてお腹の前に置きます。
上の手は耳に当てます。
肩甲骨を後に引くように胸を開きます。
腕を開く、閉じるを10回繰り返します。
反対側も行いましょう。
・下部体幹ローテーションストレッチ
両腕を開き、膝を立てて仰向けに寝ます。
左右の膝と足が離れないように合わせたまま横に倒します。
そのまま反対側にも倒します。
左右交互に10往復行いましょう。
・リラクゼーションストレッチ
仰向けに大の字で寝ます。
その姿勢から左手に右手を重ねるように体を捻ります。
両手を合わせた状態で呼吸を止めずに20秒ほどリラックスしましょう。
反対側も同様に行いましょう。
左右交互に3回ずつ行いましょう。
・ドッグ&キャット
四つ這いになります。
手は肩の下、膝は股関節の下に置きます。
背中を丸めるように体を丸めます。
腹筋を使うように意識しましょう。
その次は逆に体を反らせます。
肩甲骨を寄せるように背中に意識します。
丸める、反らせるを交互に10往復繰り返しましょう。
②股関節周りの筋力トレーニング
・ヒップリフト
足を腰幅に開いて、膝を立てたまま仰向けに寝ます。
腹筋に少し力を入れたまま、お尻を床から持ち上げましょう。
お尻を締めるように意識します。
お尻上げを20回3セット行いましょう。
・中臀筋トレーニング
横に寝て、下の脚は少し曲げて置きます。
下の手は頭を支えて、上の手はお腹の前に置いてバランスを取りましょう。
上の脚をできるだけ高く持ち上げて、お尻の横を鍛えます。
足の位置は体よりも少し後になるよう意識しましょう。
片脚10回3セット、反対側も行いましょう。
③体力向上トレーニング
・立ち上がりエクササイズ
足を腰幅にして椅子に座りましょう。
背筋を伸ばしたまま、少し体を前傾させて立ち上がりましょう。
座る時も体を少し前に傾けてからお尻を少し後に向けるように座りましょう。
立ち座りを連続で15回3セット行いましょう。
・スクワット
立ち上がりエクササイズが物足りない方はスクワットにチャレンジしましょう。
Ⅳ.まとめ
いかがでしたか?
今回は変形性股関節症について解説致しました。
原因や予防、改善方法をご紹介しましたが、あまりにも生活に支障が出ている場合は人工関節手術も検討しましょう。
手術に抵抗がある方もいらっしゃいますが、最近は傷になる範囲も非常に少なく、入院期間も短くなりました。
脱臼のリスクもほぼなく、術後にスポーツをされる方もいらっしゃいます。
予防のコンディショニングをしっかりと行いながら、手術をしない保存療法にするべきか人工関節手術をするべきかをしっかりと見極めましょう。
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